キコエヌキセキの話ばかりする。
内容
- お母さんが倒れて取り乱す樹くん、波くんに『八つ当たり』って言ってたけどあの波くんへの言い方って怒りとかじゃなくて『抱えきれない混乱』の持て余しで、波くんもそれが悪意とかではないことを分かってるから言い返したりとかじゃなく静かに帰るんだよな…。
- 樹くんにとって『歌』って3人の家族との思い出に結びついてて、皆に褒められたポジティブな記憶に直結してるから、お母さんが亡くなってひとりぼっちになってしまったら抱えきれなくなってしまうんだろうな…。
- 樹くんに寄り添って、でも何もできなくて、何ができるんだろうと思い悩む空くんの芯。
- 空くんにとってカメラは大きな自分の一つで、でもそれを諦めてしまうようなことがあって(明かされていない)、そこの救いになってくれた樹くんがいるから、空くんは今度は自分が樹くんに手を差し伸べたいと思うのに無力さに嘆く。そこに入る歌。
- 3人が同じメロディとニュアンスの違う歌を歌うシステム。波くんの歌は弱さを、樹くんの歌は後悔を、空くんの歌は希望を滲ませて歌われている感じがして、物語の進行と相まって情緒に食らった。
役者
- やっぱり真修くんの芝居の『堪えきれないものを制御しきれず噴出する感情』が好きすぎる。
- キャッチボールの後に服を払う仕草、空を見上げる目線、他の人の方を見る姿勢、物語としてではなく人物として言葉を紡ぎ感情を乗せ生まれる涙。真修くんの芝居がこんなに訴えかけてくるのは、劇場の全てと一体となって世界を作る力がある。観劇者のみならず他の役者も空間も音も何もかもを巻き込んでいく。本当に好き。
- 空くんの『樹くんに寄り添いたい』気持ちの中にある空くん自身の芯。影くんの受容する優しさを持ちつつ芯がしっかりしている感じ、穏やかさと明るさと切なさと眩しさが同居している笑顔と声がめちゃくちゃ合ってて、影くんって『希望』の人なんだ……と思った。